名古屋高等裁判所金沢支部 昭和31年(う)290号 判決
記録を精査し被告人の性行、経歴、境遇、犯罪の状況など、刑の量定に影響すべき一切の事情を斟酌すれば、被告人に対する原判決の科刑は、相当であると考えられる。所論の諸点については十分なる検討を遂げ、その結果を考慮に容れたが、未だ以て原審の量刑を変更すべき事由ありと認めるに至らない。論旨は採用し難い。(なお記録を検討すれば、原審は、被告人の所為として、別紙一覧表掲記(1)乃至(11)の賍物故買の各事実を認定し、これを併合罪として処断した上、被告人に対し金弍千円の罰金刑を、懲役参月の体刑に併科しながら、しかも、原判決擬律部分には、併合罪に於ける罰金額算定の基準を定める刑法第四十八条第二項の規定を、挙示していないことを認め得る。しかしながら、刑法第四十八条第二項は刑罰諸法規中、所謂総則的規定の範疇に属する規定であつて、判文上、常に必ずしも、その適用を明示しなければならぬものでなく、他方、原判決は、その認定に係る各行為に対し、同法第四十五条前段を適用していることが判文上明白であつて、従つて原審は、被告人を問擬するに同法第二百五十六条第二項の罰金刑を以てするに際し、同法第四十八条第二項を適用することを、必ずしも遺脱したものでないと解し得るから、原判決の此の程度の瑕疵は、いまだ以て該判決を破棄するに足りないと言うべきである。
(裁判長判事 高城運七 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)